「終生記」の「本編」における複数の話者
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概要
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李箱の「終生記」における「本編」は、さらに「秋の物語」と「春の物語」に分けることができる。「春の物語」は、貞姫から速達が来、その手紙の全文が挿入されながら始まるが、この物語は、秋の主人公によって書かれている作中作品である。そのために「本編」の構造は、二重的な構造として、額縁小説という形で展開されていくようになる。そしてそのような構造を持っているために複雑に入り組んだ語り方が生じるようになる。それが話者に関する問題として表れ、「終生記」読解の難解さを生み出している最も大きな原因となっている。したがってこの問題を解決することは、「終生記」の正しい解釈につながることでもある。「春の物語」の基本的な語りは、春の主人公の一人称によるものであるが、それ以外にも第3の人物と見られる話者が頻繁に介入するようになっている。それらの話者の正体と役割を考察することによって「終生記」という作品全体の意味を見出すことができる。
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