競争環境への適合と戦略の変遷(1) : 自由化後のドイツ電力市場を事例として
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概要
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本稿では,自由化という競争環境の変化に対応し,ドイツの電気事業者がいかなる視点から経営戦略を構築してきたのかについて,企業の「内」と「外」,さらに「内と外の相互作用」のいずれに着目するのかという視点と,競争優位について「価格面」か「非価格面」のどちらに着目するのかという視点の,2 つの視点に基づき分析枠組みを構築し,考察を行った。その結果,競争開始により,一時的には,外(自由化)⇒内(効率化・能力)⇒外(競合動向・顧客動向)へと視点が重層的に変化するものの,「内」と「外」の両者を勘案した「相互作用」(創造的戦略構築)の視点が極めて重要となり,また,価格面から非価格面への大きな視点の変化があったことも明らかとなった。企業は,非価格面における「相互作用」に着目することにより,価格引下げ圧力から開放されると同時に,外部ニーズを自社内に取り込み,マネジメント・システムの刷新を行いつつ,より革新的なサービス・施策を実現可能とする。電気事業においても,外部との相互作用のプロセスの中で,より一層,創造的な戦略構築がなされていくべきだというのが,本稿における筆者らの基本的な主張である。
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