古典人文学による知的訓練 : 19世紀フランスにおける教養論争の一側面
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概要
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本稿はフランスにおけるディシプリンの意味の変遷の歴史を追い、今日の日本の大学教育において問題になっている教養教育とディシプリンの関係について考察するものである。フランスにおいて、「学問分野」「教科」という意味でのディシプリンの使用は比較的遅く、19世紀になってからである。ラテン語学習の効用をめぐり批判が起こると、19世紀前半にはラテン語は知性を鍛える道具であるという議論が強調されるようになり、世紀半ばには身体教育のメタファーを用いて gymnastique intellectuelle という表現も登場する。さらに、19世紀末から20世紀初頭にかけて中等教育における教養教育をめぐって、古典派と近代派とに分かれて激しく論争が行われた。その際の中心的論点は、知的訓練にどのディシプリンが有効か、古典人文学の教育的価値をどこまで認めるかであった。フランス語教育の発展によって、フランス語がラテン語のヘゲモニーに異議を申し立て始めたのである。フランス語に続く形で歴史・地理・自然科学などがディシプリンとしての権利を主張するようになる。それはちょうど、一般教養という用語が登場する時期とも重なっていた。フランス語を軸とした一般教養を主張する教育学者は、イエズス会流の形式陶冶を批判し、知識内容と形式は切り離せないと考えるようになった。
- 2012-03-09
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