3次元有限要素法を用いたチタンインプラント周囲骨の応力解析 - インプラント体の直径と長径の違いが下顎骨の応力分布に与える影響 -
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概要
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【目的】デンタルインプラントは口腔機能の回復と審美的な改善の手段として用いられるが,インプラントに加わる咬合力は歯周靭帯を介在しないため直接周囲骨に伝達される.そのため組織学的な長期安定性を獲得するためには歯槽骨への適切な応力の分散が不可欠である.本研究は右側下顎骨の第一大臼歯相当部に埋入したインプラント体の直径と長径の違いによる応力分布の状態を比較検討し,さらにインプラント体埋入後に発生する頚部皮質骨の吸収が応力分布に与える影響を調べるため,有限要素法を用いて解析した.【方法】右側下顎第一大臼歯部に直径と長径の異なる12種類のインプラント体を埋入した3次元有限要素モデルを作製し,垂直方向250N,水平方向20Nの2つの条件下で有限要素プログラム(ANSYS10.0, ANSYS, Inc.USA)を用いて解析を行った.次に3次元有限要素モデルを簡略化し,直径と長径の異なる6種類のインプラント体を埋入し,インプラント体頚部の皮質骨をカップ状に吸収させて解析を行った.【結果】全モデルにおいてインプラント周囲骨の最大応力発生部位はインプラント体周囲の皮質骨表層部であり,長径を長くすることよりも,直径を太くすることが皮質骨に発生する最大応力値の減少に効果的であった.骨吸収モデルにおいては,骨吸収が進むと,皮質骨に発生する最大応力値は,垂直荷重時では一度減少した後,増加する傾向にあり,水平荷重時では,漸次増加する傾向にあった.また骨吸収が進むと,垂直荷重時,水平荷重時ともに海綿骨の応力値は増加した.【結論】インプラント体の長径を長くするより,直径を太くする方が皮質骨の応力集中を減少させる効果が大きかった.特に水平方向荷重時にその影響は顕著に表れた.インプラント体頚部に皮質骨吸収がカップ状に発生すると,垂直荷重時,水平荷重時ともに初期の段階では応力が急激に増加することはなかったが,骨吸収が進行すると応力が急激に増加した.
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