『警世通言』版本再考
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概要
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『警世通言』の原刻本は夙に伝を失している。これまで最古の刊本とされてきた「兼善堂本」は、原刻後印本の本文を重刻し、図像は画工の署名を含め模刻したものである。早稲田本は「兼善堂本」の版木に埋木改刻を施した後修本、衍慶堂本(『二刻増補警世通言』及び24巻本)はこの版木を再度改刻したものである。原刻本第40巻「旌陽宮鉄樹鎮妖」は明末崇禎年間以降に『三教偶拈』に流用され、「許慎君旗(旌)陽宮斬蛟伝」となった。「旌陽宮鉄樹鎮妖」に替わって新刻された「葉法師符石鎮妖」が『警世通言』に加わり、新たな『警世通言』が出版された。それが佐伯文庫本である。なおその際、図像は原刻本により模刻された。三桂堂本は佐伯文庫本の本文に依拠しつつ、収録作品を調整し、眉批を省いた本文を簡筆字で新刻し、図像を一部修正したものである。
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