【書評】石井菜穂子『長期経済発展の実証分析:成長メカニズムを機能させる制度は何か』日本経済新聞社(2003年)
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概要
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現在の世界において存在する各国並びに地域の所得格差はなぜ発生したのか。この問いは、国際開発の現場にいるものだけのものではなく、国際経済学・開発経済学の一大関心事である。本書は、過去200 年に渡る現代経済成長の軌道に乗れたか乗れなかったかによって格差が生じたことを先行研究より明らかにし、長期的に成長軌道に乗れない国には、成長メカニズムを機能させるための必要な制度が備わっていないとの仮説を立て、実証分析を行っている。さらに、発展タイプ別のケース・スタディを踏まえた上で、長期的な成長メカニズムを機能させるための経済システムにたいする政策課題が議論される。本書は、国際開発の現場を通じて得た豊富な情報とデータ分析、政策課題などを統合し、それらを駆使した分析手法を用い、長期的経済発展という壮大な問題を解くための優れた研究成果を提示した良書である。
- 2011-09-30
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