細胞サイズリポソームの新しい作製法とその応用
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概要
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CiNiiへのリンク http://ci.nii.ac.jp/naid/10025975941両親媒性のリン脂質分子がシート状にずらりと並び,それが二枚,疎水部を内側に,親水部を外側にしてサンドイッチ状の向かい合わせになったものが,リン脂質二分子膜(厚さは約5 nm)である.この構造が,細胞膜やオルガネラ膜の主要な構成要素であり,細胞および細胞器官の内外を隔てる役割をし,膜タンパク質が動き回る流動的な場を提供している.このリン脂質二分子膜が,水中でnm-μmスケールの小胞となったものをリポソームとよぶ.中でも特大サイズ(直径1-100 μm程度)のジャイアント・リポソームは,細胞と同程度の大きさの閉じた微小空間であり,最も単純な細胞モデル,あるいは,細胞モデルの“器”として長く興味をひきつけてきた.しかし,特に生理学的な溶液条件下では,細胞サイズのリポソーム作製には時間と手間がかかり,生成効率も総じて高いとはいえなかったため,細胞機能を模倣するモデルとしてはかなり単純なものにとどまっていた.ところが近年,新たな手法が続々と試され,DNAやタンパク質などを任意に封入することが可能となり,これを利用して細胞機能を人工的に再構成する試みが発展しつつある.本稿では,筆者らのものを中心に,これらの手法について紹介したい.
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