非営利会計論における資本維持概念の提唱 : コール学説の意義
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概要
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論文1907年恐慌直後の1910年代にハーヴァード大学のウィリアム・モース・コールは,減価償却の原価計上の必要性,現物寄付の認識と減耗費計上,という2つの会計処理を主張することにより非営利組織の資本維持を唱えた。アメリカの非営利会計論で初めて資本維持を唱えたのは,コールと思われる。コールの非営利会計文献は5つに及んでおり,本格的であった。その中にはアメリカ家政学会で彼が議長を務めた委員会の報告書と,アメリカ家政学会公認の「教科書」が含まれていた。「教科書」は非営利会計一般について扱っていたが,主に病院を具体例としていた。 コール学説は,公認会計士のゲイジスビークによる書評で減価償却について賞賛され,非営利会計論における資本維持の要否についての議論の発端となった。1930年までの代表的な大学会計論者であったアーネットとウオッシュバーンとモーレイは,3名とも資本維持の要否について言及していたのである。 コールの著作には大規模な学会であったアメリカ家政学会の報告書とアメリカ家政学会公認の教科書が含まれていたためにコール学説は権威を持っており,実務に対しても影響を与えたと考えられる。病院会計基準は減価償却費の計上を要求し,大学会計基準は図書の現物寄付の認識と減耗費の計上を要求したのである。 コールが非営利会計論を唱えた当時は,組織間の「適者生存」などを強調する社会ダーウィン主義という社会思想がアメリカ社会で影響力を持っており,倒産する病院があってよいとする会計論者も存在していた。その時代にコールは慈善を重視しゴーイング・コンサーンを非営利会計の前提としており,その点でもコールには先見性があったと言えよう。
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