日本における社会的企業論の現状と課題
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概要
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OECDは2009年に“The Changing Boundaries of Social Enterprises”(邦訳名『社会的企業の主流化「新しい公共」の担い手として』)という本を出版した。その内容は,社会的企業が,社会サービスの提供において,従来の民間部門にも公共部門にもその活動領域を広げていく姿を描いたものである。この本によれば,「社会的企業」という用語は,一般的に「労働市場の統合,社会的包摂,そして経済発展に貢献するという,社会的目的と経済的目的の両方を充たす新機軸のビジネスモデル」と理解されているが,実際には,この言葉に関して,世界で共通の理解が得られているわけではないと指摘している。その理由は,「社会的企業」という言葉が,2つの異なった意味で使われていて,その背景には,アメリカとヨーロッパという地理的,文化的な背景の違いがあるとしている(OECD:2009=2010:14-15)。「社会的企業」という概念は,大きく分けてアメリカとヨーロッパで二つの流れがあることは,藤井(2006,2010)も指摘しており,日本では,この二つの社会的企業論の流れの両方が混在しているのが現状だとしている。日本では,2010年に発足した民主党政権以降,これまで「官」が担ってきた役割に,国民一人一人が参加し,それを社会全体で応援するという「新しい公共」という方向性が示されている。その中で,「新しい公共」を担う一つのアクターとして,社会的企業の活躍が期待されている。しかし,具体的にどのような企業を社会的企業と捉えるか,また社会的企業をどのように支援していくのかについては,明確にされていないのが現状である。そこで,この論文では,アメリカの社会的企業論と,ヨーロッパの社会的企業論を検討し,日本の社会的企業論の現状と課題を分析する。
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