「これから」のコーポレート・ガバナンス論 : コーポレート・ガバナンスの根本理念 : A Fundamental Problem on the CORPORATE・GOVAERNANCE
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概要
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「コーポレート・ガバナンス]とは、法人企業をめぐる利害関係者のうちの誰をガバナンスの主権者として位置づけるのが適切・妥当かという問題である。これまでのコーポレート・ガバナンス論は[コーポレート]の分析から[ガバナンス]の定める方法論に偏重していた。コーポレートという企業法人の分析からガバナンスを誘引する研究が主だった。①「法人本質論」としての法人擬制説・法人実在説・法人否認説等による法人の実体論からのガバナンスを定める考え方、②[法人所有権者論]から、株主主権論、株主経営者・従業員主権論、会社主権論等によってガバナンスを定める考え方が主流を成していた。①の方法論に関しては、「法人というヒト」は、国家が国家権力の行使によって定めることができるようになった。法人の設立に関しては「準則主義」が確立された現代では、法人本質論を観念的に分析することによってガバナンスを導く意義は喪失したものといえる。②の方法論に関しては、「会社は誰のものか」という視点から、所有権論からガバナンス(統治者)を論理的に定めることは、企業がグローバル化した資本主義社会においては、出資者の多様化、分散化が地球規模的に拡大化した社会においては、実体論的に会社をめぐる経済的利害関係者間の公平にして妥当性を有する基準は定められない。会社法人の所有者と定められたものが統治権者とする合理的原理が見出されない。所有と統治を論理的に結びつける合理性が見出されない。それにもかかわらず[所有]という観念論・虚構論 (「株式の法人間の相互保有」・「フアンドによる所有」)を展開することによって、統治の正当性を主張する論は、「所有権論」の亡霊にとらわれた理論である。所有権論と統治論とを結び付けなければ統治権者が定められないものではない。そこで、本論では企業の統治論は、企業が現実の経済社会においてどのような問題を引き起こしているかを社会的背景論から抽出し、そこからガバナンス論を提示すべきである。それはすなわち、企業の社会的経済状況に対応したガバナンス論が展開されなければならないと、論じたものである。企業が経済社会において引き起こしている問題点を呈示して、そのための解決手段としての統治方法を提示することがガバナンス論である。筆者のさしずめの結論としては、1990年代おける日本の「複合企業論」を再評価しながら、経営者の不正行為を防止し適正な経営をもたらすための解決策としてコーポレート・ガバナンスは、現行会社法における監査役制度を「公益的第三者機関化」することである。
- 2011-03-10
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