日本語教育中上級段階における意味説明の典型的パターン : 実習授業の分析結果から
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概要
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約70の日本語中上級の実習授業における語句・表現の意味説明の部分を談話分析し、以下の3点を明らかにした。 (1) 説明部分は、指導項目の取り出し、意味の解説、例の三つの部分からなることが多いこと。 (2) この順序で説明がなされると学習者の理解は容易だが、項目取り出しと意味の解説が隔たると理解が困難になること。 (3) 意味の解説・例ではティーチャー・トークが乱れがちな上、内容的に妥当性を欠く可能性が高いこと。 以上は教材内容や個別の指導項目を問わず中上級の実習授業に共通してみられる一つの傾向といえるが、これらの情報を実習生と指導教師が分かち合うことによってより望ましい指導技術の習得が可能になると思われる。ことに実習生の関心の中心はここでいう内容的妥当性にあるのが普通だが、それとともに(1)・(2)の視点を持たせることは今後の日本語教師養成において重要な課題となるであろう。