ヤママユガ科幼虫の青色色素結合タンパク質-シンジュサン幼虫体液と皮膚組織におけるビリベルジン結合タンパク質の性質-
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概要
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チョウ目幼虫の体色でみられる緑色形成に関与するビリベルジン結合タンパク質(BBP)の生理機能を明らかにする目的で、ヤママユガ科のシンジュサンSamia cynthia pryeriを実験材料に、体液や皮膚組織からのBBPの精製とその性質を明らかにした。さらに生息環境の異なる近縁種のエリサンSamia cynthia riciniと比較研究することで,幼虫体色の緑色形成メカニズムにおけるBBPの生理的役割について検討した。BBPは、体液から2種類(BBP-Ⅰ,Ⅱ)、クチクラから1種類精製された。体液BBP-Ⅰは分子量22.3 kDaの単量体、BBP-Ⅱは分子量44.9 kDaで 24.2 kDaのサブユニットをもつ二量体であった。一方、クチクラBBPは分子量46.2 kDaで 24.3 kDaのサブユニットをもつ二量体であった。各BBPの吸収スペクトルを測定した結果、それぞれ278nm、380nm付近、640〜670nmの3つの吸収極大を示し、全てのBBPに結合している色素はビリベルジンIXγであることが明らかになった。以上の結果から、体液BBP-ⅡとクチクラBBPは共通もしくは極めて類似した分子であると推察した。シンジュサンの体液と皮膚組織のエピダーミス及びクチクラにおけるBBPを近縁種のエリサンと比較した結果、両種間でその存在様式に大きな違いはみられなかった。BBP-Ⅱは体液及び皮膚組織に広く存在することから,多様な生理機能を有するものと考えられる。
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