鉄鋼業における部門業績の目標管理制度(<特集>地方産業都市の興隆と安定 : 希望学・釜石調査からの考察)
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概要
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本稿は鉄鋼業における部門業績の目標管理制度を分析する. 第一の課題は, 鉄鋼大手企業を対象としてその形成史を明らかにすることである. 第二の課題は, 釜石製鉄所を対象として, その運用実態を明らかにすることである. 本稿の結論は下記の通りである. ①八幡製鉄をはじめとするいくつかの大手鉄鋼メーカーにおいては, コストセンターとして主体的に目標を設定する権限を工場に与えると同時に, それを全体の利益計画と密接に連動させ, 組織内での密度の濃いすり合わせを行うという部門業績の目標管理制度が1960年代後半期には形成されていたと考えられる. ②この制度形成の前提となったのは, スタッフ部門の作成した各種の「標準」との差異で現場の業績を管理するという発想からの脱却であった. 鉄鋼業における目標管理制度の普及は, こうした組織内分業のドラスティックな変化と連動していたのである. ③釜石製鉄所の事例分析からは, 部門業績の目標管理において, 経営参加と企業内競争という2つの要素が動機付けの機能を果たしていることがわかった. 事業所間の競合関係を業績向上へのインセンティブとして利用し, 各級従業員の主体的貢献を誘引していた. こうした目標管理が, 1970年代から80年代の減産体制のもとで, コスト低減に広い範囲の従業員を動員し, 釜石製鉄所の生産性向上に寄与したと考えられる.This paper analyzes the management by objectives of the division performance in the iron and steel industry. The first purpose is to clarify the history of the formation of MBO for a steel major enterprises. The second purpose is to clarify the operation of MBO for the Kamaishi works. The conclusion of this paper is as follows. 1. In some major steel companies including the Yahata steel company, the authority to set the objectives is given to the division (factory) and the objectives of the division was closely linked with the entire profit plan through the rich communication. 2. It is premise of MBO that the workshop is not administrated by standard that the staff engineer calculates. The spread of MBO in the iron and steel industry synchronized with such drastic change in the division of labor in the organization. 3. From the case of Kamaisi works, it has been understood that the participation and the competition in company motivated employees. The employees were invited to contribute independently by incentive of rival relations between the sections. In the recession from 1970s to 1980s, such MBO mobilized the many employees to the cost decrease activity, and contributed to the productivity enhancement of the Kamaishi works.
- 2010-03-24
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