へき地における中学生の生活意識(3) ― 性差に関する考察 ―
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概要
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前回の論文(上田・瀧野、1973)で,「今後の課題」として残された,へき地群,都市群の,それぞれにおける性差に関する検討が, 「比率の差の検定」の手続きによって行なわれた。得られた主要な結果は,以下のように要約される。(1)へき地,都市の両群とも一致して,女子が男子より多かったのは,母親と「ひじょうによく話し」「心を打ちあけて話せる友人」があり,「友人や仲間のこと」,「異性のこと」を悩みとして持ち,その悩みを「近所や学校の友だち」に相談する傾向であった。(2)両群とも一致して,男子が女子より多かったのは,「心を打ちあけて話せる友人」がなく,悩みごとの相談相手として「父」をえらび,暴力に対しては,「力づくでやめさせる」傾向であった。(3)へき地群においてのみ,女子が男子より多かったのは,母親と話さない理由として「わかってもらえない」をあげ,学校では「心を打ちあけて話せる友人や先生」を求め,心を打ちあけて話せる友人との間には「親やきょうだい以上に心がかよいあって」おり, 「人の気持がつめたい」から今住んでいる町や村をきらい, 「容姿のこと」「性格のこと」を悩みとして持ち,悩みや心配ごとを「団体・グループの仲間」に相談し,「友人や仲間といるとき」に生きがいを感じ,暴力に対しては「車掌や警察官に連絡」し,学校に希望することを持ちながら,この質問紙の項目の中にはそれを見つけ出せないと言う傾向であった。(4)へき地群においてのみ,男子が女子より多かったのは,「個人的なことまで打ちあけて話せる先生」があり,学校では「職業に役立つ技術や知識」を得ようとし,住んでいる町や村の好きな理由として「自由がある」をあげ,きらいな理由としては「さわがしくておちつかない」をあげ,人のくらし方としては「いっしょうけんめい働き倹約して金持ちになる」をえらび,暴力に対しては「なり行きをみて」いて、学校生活で希望することの「ない」と言う傾向であった。(5)都市群においてのみ,女子が男子より多かったのは,家庭についての悩みとして「家の職業がいやだ」,「家のまわりの環境がわるい」をあげ,母と話さない理由として「すぐおこる」をあけ,学校では「教養やものの考え方」を得ようとじ、住んでいる町や村が「あまり好きでない」と答え,「親・きょうだい・親るいの者の意見」に強く影響を受け.悩みごとは「母」に相談し,「家族といるとき」に生きがいを感じ、学校生活で希望することが「少しある」と言う傾向であった。(6)都市群においてのみ,男子が女子より多かったのは、家庭についての悩みとして「ただなんとなく」をあげ,母とは「ぜんぜん話さないほう」で,住んでいる町や村が「好き」で,日本の社会についてあきたらないと感じていることが「ぜんぜんない」と答え,自分の生活を「不満である」とし,悩みや心配ごととして「政治や社会のこと」,「この中にはない」をあげると言う傾向であった。
- 1974-03-20
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