重大な人権侵害行為に対する国家免除否定論の展開(<特集>国際関係法研究動向レビュー)
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概要
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1980年代以降, 国家実行および学説上, 重大な人権侵害行為についてまで, 国家に免除が付与されるべきではないとの主張が提起されてきた. これらの主張は, 慣習国際法上依然として免除の付与が義務づけられるいわゆる「主権的行為」であるかどうかにかかわらず, 免除が否定されるとする点において従来の判断基準から逸脱する. 免除を否定する学説の論理構成は, 国家免除に関する現行の国際法規則のもとで免除が否定されるとするアプローチ, 慣習国際法上の免除の例外であるとするアプローチ, 強行規範に抵触することの帰結として免除が否定されるとするアプローチ, 国際法の体系的な解釈のもとで免除が否定されるとするアプローチの4つに分けられる. これらの学説の主張の相違は, 人権と国家の免除との価値の対立以前に, フォーラムの適切性, 国家免除制度の内容, 強行規範の効果および国際法規範の解釈方法についての理解の相違に起因する.From the 1980's, it has been asserted in state practice and in doctrine that immunity of states should not extend to violations of fundamental human rights. This claim departs from the established criteria in that it denies immunity regardless of whether or not the violation is "acta jure imperii", which is subject to immunity under customary international law. Writings which deny state immunlty can be classified into four approaches according to how they explain their conclusions: by the present international rules of state immunity, by the customary international law, by jus cogens and by systemic interpretation. The differences among them have roots not in conflicts between values, but in the understandings on the appropriateness of forum selection, the contents and scope of the state immunity principle and jus cogens, and how to interpret conflicting norms in the international law system.
- 2009-02-03
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