学校評議員制度の機能要因に関する実証的研究 : 学校ガバナンス構築に向けた学校評議員の意識分析
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概要
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本研究調査は,学校と学校評議員の関わり,機能状況,またはそれらの学校間差異がいかなる要因によってもたらされているかを実証的に分析することによって,今後の学校ガバナンスにおける民主性と多様性,地域応答性,加えて学校の専門性の担保について,基礎的知見および必要な要件の導出を行うことを目的としている。同研究目的から,A市学校評議員を対象とした質問紙調査を行ない,順序回帰分析により分析した結果,校長,教頭,教職員,児童生徒,地域の人々等と様々なコミュニケーションを取る(話をする)機会が多い学校評議員の方が,学校評議員として機能していると感じる傾向が明確に見いだせた。すなわち,機能状況を最も強く規定するのが,学校に関わる多様な人々とのコミュニケーションの緊密さであることがデータから裏付けられた。このことから,学校評議員を機能させるための要件は,その制度枠組みや学内システムの洗練というよりも,学校内外でのフォーマル,インフォーマルなコミュニケーションの確保と蓄積,およびそうしたコミュニケーション機会がもたらす活発な意見交換や議論の展開にこそあると分析された。This study aims to gain basic empirical information about how to establish school governance in Japanese public schools by analyzing the factors to work Japanese-style school council. For this purpose, we carried out a questionnaire survey to school councilors in an A city and analyzed the data by rank order regression analysis. The result shows that the councilors who have formal and informal multiple communication channels or broad scope of communication, for example, with principal, vice-principal, teachers, students, and varied local community members, tends to feel themselves as fitting their councilor's purpose. From this analysis, we can say that, it is more effective to ensure formal and informal multiple communications among various actors than to concentrate on making a new formal system for discussion in individual schools for the purpose to establish school governance policy in Japan.
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