摂食障害における過食の病理性について「共食」との関係からの考察
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概要
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近年思春期青年期増加が著しい過食症について,人類の普遍的な食の特徴とされる「共食」との関係という視点から精神病理学的に考察した。摂食障害のもう一つの形態である拒食症における食行動の問題は,重要な他者との関係を拒絶する一方で,その重要な関係を希求し再構築する端緒となりうる行為でもあり,共食の特徴である食を通じた他者との関係性という要素は残されていると考えられた。一方過食症者は,その食行動により共食の世界から完全に離れてしまい,その孤独をさらに過食することで埋めようとする悪循環の構造が認められた。近年の過食症の増加の背景に,一般家庭における共食の衰退という社会的変化が関与している可能性が示唆された。
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千葉大学教育学部 | 論文
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