殷墟遺跡出土の鳥形骨筓に関する小考察
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概要
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本稿では、東京大学文学部所蔵の殷代鳥形骨筓2点を主な検討対象として、①その製作方法、②殷墟遺跡における骨筓の出土状況から、殷代後期における骨筓の持つ役割に関して考察を行った。まず最初に、本学所蔵の殷代骨筓の実測・観察を行った。その際、その骨筓の型式だけでなく製作痕跡の細部にまで着目した。また、殷墟遺跡出土の類似資料との比較を行い、年代決定を行った。次に、殷墟遺跡内における鳥形筓の持つ役割を知るため、資料集成を行い、骨筓、とりわけ鳥形筓の出土状況及び出土地点について検討した。その結果、以下の3点が明らかになった。1点目に、本学所蔵鳥形筓2点の観察を通して、殷墟前半期の同形式の骨筓がひとつの製作者集団の管理下で製作されていた可能性を指摘した。2点目に、骨筓の副葬状況の検討を通して、骨筓とは、被葬者つまり使用者の地位・身分や性別を表しているということが分かった。とりわけ低冠鳥形筓は、夒紋形筓とともに女性墓に伴う副葬品であったという可能性を指摘した。さらに3点目として、殷墟遺跡における骨筓副葬の時間的変化を挙げることができる。本稿では、殷墟遺跡出土の骨筓を形式・紋様・製作技法によって、3段階に分類した。その分類に従って時期ごとの分布の変化を追うと、殷墟前半期においては、最も高級な高座鳥形筓は殷王へ副葬され、本学が所蔵するような低冠鳥形筓や夔紋形筓は王室と関係ある女性たちへ副葬される傾向が見受けられた。また、それ以外の骨筓も、殷王室と深い関わりがあると考えられる侯家荘・小屯地区に圧倒的に集中していた。一方、殷墟後半期になると、骨筓副葬における侯家荘・小屯の優位性は一定程度保たれつつも、より簡素な骨筓が殷墟全域の各族墓地へと副葬されるようになるという傾向が読み取れた。骨筓副葬におけるこのような変化は、殷墟遺跡内の各氏族の十分な発展を背景として起こったことと推測される。本文以东京大学文学部陈列室收藏的两件商代鸟形骨筓为主要对象进行研究。尤其是着眼于以下两点对商代骨筓的社会性作用进行考察:(1)两件骨筓的制造痕迹; (2)在殷墟遗址的骨筓的出土情况。首先,我对我校收藏的两件商代骨筓进行了细致的观察。观察的时候,我不仅观察了那两件骨筓的类型,而且对于它们的制作痕迹等细节情况进行了仔细地观察。我根据殷墟遗址出土的骨筓的类型与年代确定了我校所藏的两件鸟形筓的年代。其次,为了知道当时的骨筓使用方法,我收集了从殷墟遗址出土的所有的骨筓资料来对商代骨筓,尤其鸟形筓的社会性作用进行考察。根据以上的研究,我得出了以下三个结论。第一,通过对我校收藏的两件鸟形筓的观察,我指出同一类型的骨筓都可能是由一位制作者负责制作的,或在高度统一的控制下由一个制作单位负责制作的。第二,通过对殷墟遗址骨筓随葬情况的考察,我指出了商代骨筓并不是所有阶层都可以使用而是只有少数人,即与王室有关的统治阶级或贵族可以使用;换言之,在商代社会,骨筓及其形式是和所有者的地位,身份与性别有关的。尤其对低冠鸟形筓来说,它很有可能是女性墓的随葬品。第三,本文发现随着时间的推移,各类型骨筓的出土位置逐渐改变。本文根据骨筓的形状,纹饰与制作技术将从殷墟遗址出土的骨筓划分为三个类型,即高级,中级和低级。在殷墟早期,最高级的高座鸟形筓都从商王陵出土。我校收藏的低冠鸟形筓总是与夔形筓伴出,并且那些墓葬的墓主人是与王室有关的女性。其他等级的骨筓也集中于小屯和侯家庄,即与王室有关的地区。到了殷墟后期,从骨筓等级方面来看,小屯与侯家庄仍然保持一定的优势,即小屯与侯家庄地区仍然继续陪葬中高级的骨筓,不过整个殷墟地区的其他氏族墓地已开始陪葬较低级的骨筓。本文认为骨筓的出土情况反映着各族邑的发展。
- 2011-03-20
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