ミトコンドリア蛋白 SP-22の冬眠動物における脳内局在と概年リズムでの季節変化の免疫組織化学的研究
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概要
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哺乳動物の冬眠現象は,概年リズムの一つで,心拍数,呼吸数,そして体温などの劇的な低下で特徴づけられる.この様な変化は,脳の組織や細胞に少なからぬ影響をあたえる.その影響の一つに酸化的ストレスがあげられる. 一方,ミトコンドリア蛋白の SP-22は,チオレドキシン依存の過酸化物還元酵素ファミリーに属し,ミトコンドリア内の種々の酵素を酸化的ダメージから保護するはたらきをもち,酸化的ストレスで増加することが明らかになっている. SP-22の抗体を用いた免疫組織化学で,脳内の免疫陽性部位の局在と季節による変化を観察し,酸化ストレスと脳内の特定部位の関係について検討した.免疫陽性部位は脳内の多くの部位で観察され,多くの部位で酸化ストレスを受けていることが示唆された.また,免疫陽性部位の季節変化についても観察し,特に,リズム発振部位の可能性の高い部位と考えられている室傍核や青斑核などで,酸化ストレスを受ける冬眠期に強い陽性反応が観察された.これらの結果から,酸化ストレスを冬眠,覚醒とリズミカルに受けている領域によって概年リズムを発振している可能性が示唆された.Mammalian hibernation is characterizedby drastic decrease in vital signs such as heart rate, respiration rate and body temperature. These changes cause considerable oxidative stress to the hibernator's brain. The mitochondrial protein SP-22 is involved in mitochondrial antioxidant mechanical mechanisms. The distribution and seasonal changes of SP-22 were examinedby the PAP method in the brain of horseshoe bats and chipmunks during circannual rhythm. In some brain regions especially in Paraventricular hypothalamic nucleus (PaV), red nucleus (R), and Locus coeruleus (LC), SP-22 differences in immunoreactivities were observed in euthermic state and hibernating state. These findings suggest that SP-22 could play a protective role as an antioxidant or may regulate various intracellular molecules via redox controlin PaV, R, and LC during hibernation.
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