『忘却の河』の構造をめぐって : 方法と内容の接するところ
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概要
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福永武彦(1918-79)の『忘却の河』(1964)は七つの章から成り、章ごとに別々の物語が異なる人物の視点から語られている。一つの物語では語られる側にいるものが、別の物語では語る側にいる。このように、章ごとに叙述の視点を違えるという構造は、登場人物の相対性を浮き彫りにし、同時に彼らの同質性を繰り返すという意味で、作品のテーマに応えるものでもある。本稿では、まず、このような小説の構造が、どのような経緯から形成されたのかを、福永の創作事情のなかに追う。さらに、こうした構造と作品のテーマとの関連性を分析する。福永は方法意識の強い作家といわれ、作品の表面上の技巧性が指摘されることは多かったが、ここではさらに、そうした方法が内容とどのような接点を持つかを探ることで、福永の作品において方法の持つ意味を確認したい。
- お茶の水女子大学日本言語文化学研究会の論文
- 1998-06-27
お茶の水女子大学日本言語文化学研究会 | 論文
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