分子標的治療は肺癌の治療を変えるか?
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概要
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本邦における肺癌の発生ならびに肺癌死亡の増加が著しい.20世紀終盤には肺癌死亡は胃癌を抜いて第1位になった.この増加傾向は今後も続き,西暦2015年には年間肺癌死亡者数は12万人に達すると推計されている.この数字は結核全盛期における結核死亡者数に匹敵するものである.すなわち,肺癌の克服は21世紀初頭における国民的課題ということができよう.加えて,肺癌は3/4以上の症例が発見時には手術不能であるという事実から,肺癌の内科的治療法の重要性は今後さらに増すものと予想される.そのような現状を踏まえ,肺癌治療におけるパラダイムシフトが切望されている.そのパラダイムシフトを起こし得るものは分子標的治療である.というのも,分子標的治療は,近年の腫瘍学進歩の最大の功労者である分子生物学的研究の産物だからである.分子標的治療をかみ砕いて説明すると,「分子生物学研究から癌の特徴をつかみ,その生命線をピンポイント攻撃する」といったことになるであろう.では,どの部分がピンポイント攻撃するべき標的か,それが問題である.癌が癌たる由縁は,その「たちの悪さ」-つまり悪性度である.この悪性度を規定する因子を大まかに分類すると,以下のようになる.1)細胞周期調節因子 p53遺伝子,Rb遺伝子,ras遺伝子,CDKインヒビタrp16,p27,Ki-67 2)アポトーシス関連因子 p53,bcl-2 3)血管新生因子 VEGF(vascularendothelialgrowthfactor),bFGF(fibroblastgrowthfactor),第VIII因子 4)細胞成長因子とその受容体 EGF(epidermalgrowthfactor)とその受容体,erbB2,TGF(transforminggrowthfactor),HGF(hepaticgrowthfactor) 5)転移浸潤促進因子 Eカドヘリン,α-,β-,γ-カテニン,CD44,メタロプロテアーゼ 6)免疫関連因子 RCAS-1,fas/fasリガンド,樹状細胞 これらの癌細胞の生存や増殖に関わる因子が,分子標的とういことになる.これらの中から,特に重要な因子で分子標的治療が臨床応用のレベルまで到達したものの概要を,教室の成績を含めて述べる.
- 2004-09-25
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