中耳・乳突洞含気形成機構を応用した錐体尖端嚢胞性疾患の治療
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
錐体尖は解剖学的に側頭骨錐体部の内耳道前方部分をいう.この領域および近くには内頸動静脈,海面静脈洞,脳幹,脳神経,内耳,内耳道が存在し,アプローチのきわめて困難な領域である.錐体部病変の代表的疾患は真珠腫(類上皮嚢胞)とコレステリン嚢胞である.これらは良性疾患であるが,発生部位の解剖学的な特殊性から,放置すると発育進展し重篤な状態に陥る危険がある.しかしながら,本疾患を安全にまた合併症をきたすことなくアプローチし根治せしめることがきわめて難しいこともよく知られている.ひとつは病変部周囲に内頸動静脈や重要な脳神経などが存在すること,今ひとつは病変部位が深くかつ視野が狭いことにより,根治性の高い手術方法が取れないからである.以上のような問題に加えて,病変そのものの病理学的問題があり,本疾患を根治に導くのはきわめて困難である場合が多い.それゆえに本疾患に対処するに当たっては患者のQOLを低下させることなくいかに病変の進行を食い止め軽減するかという方向に治療方針をとることが重要と考える.私は中耳に生来備わった含気腔形成維持機構を利用した病変の処理法を試み良好な成績を得ているので報告する.
- 福岡医学会の論文
- 2004-09-25
福岡医学会 | 論文
- 糖尿病の易感染性に関する実験的研究--Streptozotocin糖尿病マウスにおけるListeria monocytogenesおよびPseudomonas aeruginosa感染
- アジアにおける小児先端医療の展開:保健衛生環境調査と主要疾患の発症要因・病態の解析および診断・治療・予防法の確立--九州大学教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクト報告(P&P)(B1タイプ)平成14年度〜16年度
- 日本の地方都市の基幹病院における倫理的問題に対する看護者の専門性からみた認識
- 温熱効果を生かした有用で安全な入浴をめざして (特集 九州大学医学部保健学科紹介)
- Mathematical Modelによる胎児心拍制御機構の検討