<研究報告>精神科臨床において患者―看護師間に生じた対立場面の広がりに関する考察
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概要
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精神科臨床では看護師が患者からの暴力にさらされる場面が少なからずあり看護師への脅威となっている。しかし,患者が暴力に至る前段階の多くには,患者―看護師間において対立場面があるように思われる。そこで本研究では,精神科看護師がどのような対立場面を経験しているのかに焦点をあて,患者―看護師間での対立場面の広がりを明らかにするため記述式アンケート調査を実施した。精神科病院3施設の看護師および准看護師,合計147名に質問紙を配布し,回答数82名,有効回答数74名を得た。得られたデータを集計し分析した結果,対立場面の広がりとして57のコードが抽出され, 12のサブカテゴリと3のカテゴリ【治療や看護をめぐる対立】【入院生活での要求をめぐる対立】【病的確信や行動による対立】に区分され,それぞれ対立場面の広がりと対立の構造が明らかとなった。また,アンケートの記述情報から精神科経験年数10年未満と10年以上を比較検討した結果,《病棟の規則に対する不満》をテーマとする対立場面が10年未満に集中してみられ,明らかな偏りが確認された。本研究によって得られた対立場面の広がりは,対立場面を扱った和文献の事例研究11例およびWard (2003) が定義した7つの対立要因と比較検討した結果,本研究による患者―看護師間に生じた対立場面の広がりに妥当性が示唆された。
- 2010-05-31
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