隅田八幡神社人物画象鏡銘釈読考: 末尾十文字の新解釈
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概要
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和歌山県橋本市の隅田八幡神社に伝わる人物画象鏡は、その外区に四十八文字の銘文を施す。江戸天保期に『紀伊国名所図絵』に採録され、大正三年の高橋健自氏による紹介以来学術研究の対象となり、多くの論考を得て既に九十年余りを経た。旧稿において、定説となっていた感のある「開中(かわち) 費直」という釈読を、「蹄中(き)費直」と改めた際、日本や中国だけでなく、古代朝鮮半島の文字文化をも視野にいれなければ理解できないことを痛感した。東野治之氏には、「木簡に現われた『某の前に申す』という形式の文書について」などの一連の論考があり、中国の六朝時代の文書形式が木簡の用字にまで影響を与えていることを具体的に跡づけられている。拙稿も東野氏のひそみに倣い、隅田八幡神社人物画象鏡(以下隅田神社鏡で統一) 銘の末尾の十文字に対象をしぼり、漢から六朝にかけて東アジアに大きな影響を与えた中国の漢字文化が、どのように変容しながら古代朝鮮に伝わったか、そして更に海を越えてその漢字文化がどのように五世紀の日本に導入されたのか、その実体を明らかにしたいと思う。特に異体字の考証は隅田神社鏡ではゆるがせにできない問題なので、東京国立博物館作成の隅田神社鏡の写真と、検証に必要な他の参考資料を稿末にまとめたので、煩をいとわず参照して頂きたい。
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