日本の葡萄唐草について
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概要
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唐草に葡萄の果房や葉をつけた文様を葡萄唐草とよぶ。葡萄をモチーフとした装飾文様は、ギリシャ・ローマを中心とした葡萄を栽培する地域で、酒と豊穰の神ディオニソスに対する信仰と結びついて発達したが、古代イラン地方でもまた、葡萄は泉と豊穰の女神アナーヒターへの信仰と結びつき、柘榴とともに瑞果文として用いられていた。葡萄が中国へ伝えられたのは漢の武帝の時、張審あるいはその関係者によってもたらされたのが初めとされ、中国における早い時代の葡萄唐草の例は、後漢時代の綾や南北朝時代の雲岡石窟の装飾にみることができる。唐代に入り西域との交通がさかんになると、葡萄唐草は西方的な異国情緒あふれる文様として人気を博し、初唐期には海獣葡萄鏡をはじめとして壁画や様々な器物の装飾に用いられるようになった。このような大陸の影響を受けて、日本にも葡萄唐草の例は少なからず存在する。日本の葡萄唐草についてはすでに林良一氏、伊東史朗氏によって作例の紹介やいくつかの作例に ついての検討が行われている。本稿ではこれら先学の研究をふまえ、日本の工芸品にあらわされた葡萄唐草の変遷をたどり、日本における葡萄唐草の特徴について考えてみたい。
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