数年間放置されたスギ枝条の容積密度と含水率について
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概要
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The objective of this study was to identify the bulk densities and moisture contents of sugi (Cryptomeria japonica) slash over a few years natural drying process in a clear cutting field for site preparation. The slash samples, 155 branches in total, were collected from 3-year, 2-year and 1-year slash piles, and fresh branches from four living sugi trees in Takakuma Experimental Forest of Kagoshima University. The bulk density and moisture content of the slash branches were measured. The results showed that the moisture contents of branches were 45.3% for 3-year drying, 98.6% for 2-year drying, 52.6% for 1-year drying, and 92.2% for living branches. The bulk densities were 0.481 for living branches, 0.447 for 1-year drying, 0.437 for 2-year drying, 0.432 for 3-year drying, and there was a significant differences in bulk densities for each drying periods as 1% level ANOVA. Also, there was a significant difference in the bulk densities of three layers (upper, middle, lower) in the slash piles. A half-life period of the branch bulk density was calculated as 15.6 years. In the making of slashes for woody fuel, it would be necessary to examine the natural drying period from two aspects, the heat calorific value improvement by decrease in moisture content and the loss in woody biomass weight from the decomposition process.数年間放置されたスギ枝条の容積密度と含水率について.寺岡行雄・合志知浩地捧えにより堆積され数年間放置されたスギ末木枝条の容積密度の変化と枝条含水率の違いを明らかにした。鹿児島大学高隈演習林にて伐採後に行われた地持えにより,堆積された枝条のうち3年間放置,2年間放置,1年間放置および採取直前に伐採した生枝(計155本)を対象として,含水率および容積密度の測定を行った。なお2年放置と1年放置では堆積の層を区分し,上層,中層,下層からそれぞれサンプル枝を採取した。その結果,枝条の含水率では,3年放置での平均が45.3%,2年放置で98.6%,1年放置で52.6%,生枝全体では92.2%であり,2年放置を除いて徐々に含水率が減少していた。次に,容積密度の違いでは,生枝が0.481,1年放置が0.447,2年放置が0.437,3年放置が0.432であり,放置年数により容積密度には1%レベルで有意差が認められた。さらに,フィッシャーのLSD法により放置期間別での比較では,生枝と1年以上放置との間に有意差が見られたが,1~3年放置した枝条の問では,容積密度に違いに有意差は認められなかった。層別での容積密度の違いでは,上層で0.451,中層で0.423,下層で0.453となり,5%水準で有意差があった。さらに,放置年数の経過とともに徐々に減少する容積密度の傾向から,分解による半減期を求めると約15.6年であった。末木枝条の燃料化を考える際には,野外放置による含水率の低下による発熱量の向上と,木質部分の分解による燃料利用可能量の減少という両面から,野外放置期間や方法を検討する必要がある。
- 2010-03-01
著者
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