イギリス中世都市-その研究動向の一面について-
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概要
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わが国の戦後のイギリス中世都市の研究は、ヨーロッパにおけるこの種の研究と同様に、村落共同体や封建的土地所有の研究と対比すると、必ずしも活発ではなかった。それはヨーロッパの学界における状況と共通した部分もあるが、特にわが国においては固有の理由も指摘できるのである。すなわち中世都市を拠点とする≪前期的商業資本≫と中世農村を資本主義的関係を誕生させる≪局地的市場圏≫との対立関係の中から資本主義的近代社会の成立を求めようとした大塚久雄氏の学説などにも影響されたのである。村落共同体や封建的土地所有などの研究の方が、都市に関する研究よりは近代社会成立過程の集中的研究へと直結するという認識から多く輩出したといえる。
- 明治大学教養論集刊行会の論文
- 1975-12-01