「ことば」の科学?: インド、ゴア社会におけるコーンカニー語文字問題についての一考
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概要
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本稿で問題としたいのは、我々がある言語を使用するときに関わってくる権力関係と文化的自己形成についてである。「音としての言語」と「文字としての言語」の言語の二つの側面のうち、後者による文字文化の現代性に留意しつつ、読み書き実践と公共圏という観点からアプローチを行う。具体的には、インド・ゴア州のコーンカニー語の事例を、国民国家の権力以外の力が重層的に作用するなか、関係する人々が常に複数の権力関係を解釈しながら、自己の文字文化のテクスト生産の実践を行う試みとして考察する。ゴア社会のヒンドゥー教徒とキリスト教徒のあいだではコーンカニー語を筆記する文字が異なっている。ヒンドゥー教徒の作家の中には、デーヴァナーガリー文字での筆記こそがコーンカニー語にとって「科学的」とする人々もいる。文字文化が編成される過程(テクスト生産・印刷・流通といった制度とそれに関わる人々)について微視的に考える作業は、テクストが氾濫する現代には重要だと考える。
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