Phonological short-term memory and early foreign language reading
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概要
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本稿はワーキングメモリ理論の枠組みの1つである音韻ループと初級英語学習者の英文読解の関係性を,実験をとおして解明することを試みた。読解を担っているのは,ワーキングメモリの中枢である中央制御機構であるというのが定説である。しかしながら学習障害児童や脳損傷患者の言語に関わる研究や初期の母語習得において音韻ループと読解との関わりの重要性が解明されてきている。その先行研究を踏まえ,本研究では,音韻ループの1つを構成している音韻短期記憶が初級英語学習者の英文読解において重要な役割を担っているという仮説を立て,実験を行った。実験参加者は中学3年生(78名)である。実験材料は読解力と聴解力を測定するために英検4級を使用し,音韻短期記憶を測定するためによく用いられている数唱記憶範囲課題(順唱と逆唱)を使用した。実験の結果,読解テストと順唱課題(r=.566,pく.001)および逆唱課題(r=.517,pく.001)には相関があることが証明された。したがって音韻ループの音韻短期記憶が,読解にはほとんど寄与していないという先行研究は,初級学習者の英語学習においては十分に説明しきれていないことが判明した。英語学習が初級から上の段階へスムーズに移動するためには,初級の段階でするべき学習点や練習方法に音韻ループを活性化する音声教育を十分取入れなければならないということが示唆された。
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