古代奈良盆地の河川と溜池に関する若干の歴史地理学的問題
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概要
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奈良盆には多くの溜池があり,ふるくから掘さくされたというのが人々の常識になっている.しかし溜池の数は必らずしも全国一でなく,また渡来人の技術者も多かった古代において畿内のみに掘られたとも考えられない.近年竹内常行は,自らが昭和初期に行った全国の溜池調査の結果を集大成し,日本における稲作発展の基礎としての,つまり灌概水利上に演じる溜池と揚水域の地域的分布や役割を概観している.このことに刺激されて筆者は改めて農林省の全国溜池台帳集計(昭和30年)を府県別にみてみた.次表に全国の計をかかげたが全国溜池の総数はじつに27万に及ぶことが知られるのである.その第10位までをあげると次のごとくなる.このうち奈良県は第5位になり,且つ同じ寡雨地域の瀬戸内海でも兵庫県が第1位,これに対し対岸の香川県は第8位となることがわかり,必らずしも雨量との相関関係がないことが知られる.それよりも奈良盆地の場合は乾ばっと洪水が多く,溜池や河川が貯水又は遊水地的性格をもとどめていたことが知られる.
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