ハーグ管轄合意に関する条約(2005年)の作成過程における日本の関心事項について
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概要
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2005年6月にハーグ国際私法会議において採択された「管轄合意に関する条約(Convention on Choice of Court Agreements)」は、国際訴訟においてしばしば問題となり、紛争解決を長引かせる国際裁判管轄の問題についての争いが生ずることを回避するため、予め当事者が合意により専属的に裁判管轄を有する裁判所(又は国)を定めておくというプラクティスの有効性に関する明確なルールを作成することによって、安定的なものにしようとするものである。「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」(いわゆる「ニューヨーク条約」)が仲裁による国際民商事紛争の簡潔において果たしている役割を、訴訟による紛争解決について果たすことが期待されている。しかし、この条約交渉においては、日本として容易に譲歩することができないいくつかのポイントがあり、条約交渉に参加した筆者が、それらについて、最終条文に照らして解説するものである。最終段階でのポイントは、(1)管轄合意と国内裁判所間での事件の移送との関係、(2)送達実施国法の違反の送達があった外国判決の承認執行段階での扱い、(3)条約対象外の事項が先決問題となった事件についての判決の承認執行段階における扱い、(4)填補賠償であっても過大な賠償金の支払いを命ずる外国判決の承認執行段階における扱い、いじょうである。
- 同志社法學會の論文
- 2006-06-30
同志社法學會 | 論文
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