幼児の食生活に関する研究(第10報) : 最近5年間の漁業地域幼児の栄養状態の変動
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概要
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幼児栄養をより的確に把握するため,1969年度と1974年度の漁業地域幼児の栄養状態について検討を加えた。対象児は4~6歳児14名で,四季の各連続した3日間(通年12日間)の食餌摂取量を個人別に秤量した。得られた成績は年令別性別栄養所要量ならびに食糧構成基準と対比し,食糧構成パターンおよび栄養充足率パターンの5年後の変動については,数値群パターン解析法を適用して,以下の成績を得た。(1)漁業地域幼児の摂取食品数は1人1日当り平均21品→28品に増えたが,それは植物性食品の増加に負うており,動物性食品は5品で変りたく,間食も4品で変りなかった。(2)食品摂取量では,この5年間に殆んどの食品に増減いずれかの変動が見られ,その変動度は10.7%であり,新潟県民の10.8%にほぼ等しかったが,山村幼児の7.6%,農村幼児の4.4%,国民栄養の3.4%ならびに諸外国の0.1~2.9%に比べるならば比較的高値であった。増加した食品は肉,油脂,砂糖および豆類,減少した食品は菓子および魚介類であり,基準量に対するパターン類似率は82%→92%へ有意に上昇し,より望ましい摂取パターンに近づいた。なお,基準量パターンとの類似を低めている主要因(魚介類の多量摂取,緑黄色野菜の不足)にはさしたる変化は認め難い。(3)栄養充足率は'69年度の51(V.A)%~157(動物性たん白質)%から,'74年度の67(V.A)%~137(動物性たん白質)%へと比較的平準化し,所要量とのパターン類似率は96%から98%へ上昇して,概して良好となった。所要量パターンとの類似を低めている主要因(V.Aの不足)は5年後も変りなかった。(4)摂取たん白質の質的評価では動物性たん白質比58→51%,たん白価は81(S)→80(S),アミノ酸価は89(Thr)→87(Thr),卵価は69(S)→70(S),人乳価は85(Tny)→91(Leu),乳価は90(Lys)→93(Lys)にそれぞれ僅かずつ変動した。(5)対象児の体位の目標値に対する比率は身長103±4.2→98±2.1,体重101±7.0→95±9.0といずれも低下し,体力評価は3.1±0.8→3.1±0.6と変らず中位の成績であった。
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