建国期中国の失業対策事業における「生産自救」思想の由来 : 土地革命戦争期から1950 年代までの飢饉救済政策を中心に
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概要
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建国直前の中国では1949 年の夏に自然災害が襲い,長江,淮河,漢水,海河の堤防決壊によって被災民4,450 万人を出した。50 年にも旱魃がハルビン省,綏遠省,内蒙古自治区などで起こり,3,030 万人が被災した。こうした災害は52 年,53 年まで全国に拡大した。建国初期,革命新政権は被災民救済のために「以工代賑」(水利施設の補修,植林など防災を兼ねて労働を提供することでの救済策),生産自救(労働者協同組合による副業の組織化),労働力互換組織,帰郷生産,移民などの「生産自救運動」を展開した。これは,解放区での生産管理,合作化運動,難民による移住開墾などの経験を基礎にしものであったが,都市失業問題にたいしても1957 年ごろまで以工代賑,および労働者の出資を主にし,政府の貸し出し資金による補助も加わって設立された「生産自救工場」という二つの失業対策事業の実験として受け継がれた。それらでは「自発的意思」と「民主的管理」の原理がなによりも重視され,労働者が生産を管理する力をつけることによって経済民主主義の担い手として成長することが目指された。本稿ではその前史として,生産自救思想がいつ,どこで形成されたかを明らかにすることを目的とするものである。
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