配偶者からの暴力被害者支援及び防止政策における市民参画型政治の展開
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概要
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戦後日本の高度経済成長は、経済発展至上主義の下、強力な官僚制によって主導された。それを一方で支えたのは、「男性稼ぎ主型」家族を基盤にした日本型雇用システムと日本型福祉である。しかし、1980年代末にバブル経済がはじけ、90年代以降の「失われた10年」によって、日本は、もはや右肩上がりの経済発展は望めなくなった。また、急速に進展するグローバリゼーションの影響によって、労働市場の規制緩和を初めとする様々な規制緩和が進み、これは日本のこれまでの社会システムを破壊しながら、富める者と貧しき者=社会的弱者との格差を急激に拡大させていった。この過程で、これまで見過ごされてきた、様々な政治課題が浮上し、それらの解決が緊急かつ強力に社会から要請された。これは、言い換えれば、経済発展至上主義や企業中心社会の論理から、生活者の視点への転換であり、官僚制から市民参画型政治への政治システム変革の流れである。そこで本稿では、市民参画型政治の具体的例として、日本のDV政策について考察する。DV政策は、日本のジェンダー政策の中でもとりわけ市民参画が進んだ分野である。すなわち、2001年にDV防止法は議員立法で制定されたのち、二度の改正DV防止法は市民立法によって制定された。また、その制定過程では、被害当事者や支援者たちの声が強く反映されるものとなった。したがって、本稿では、まず、このDV防止法の制定過程を「市民参画」の視点から検証した。さらに、DV施策を実施する立場である地方自治体では、民間支援団体と行政との協働がいかに行われているかについて、いくつかの地方自治体のDV防止基本計画とその実態を比較分析することによって見てみた。その結果、地方自治体と民間支援団体との協働ができているところは、きめ細かな支援が行われていること、行政とのチャンネルができていることがわかった。さらに、地域間格差が大きいことが分かった。地方自治体において実効性のあるDV防止施策を展開するためには、行政と民間支援団体との協働関係が必要不可欠であることが実証された。
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