「あわれみ、慈悲」を表す中英語語彙についての一考察 : 13世紀イギリス南西中部方言宗教散文を中心に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
The thirteenth century is a period in which English underwent a great change in its history. In this paper, the characteristics of the French loanwords have been investigated through observing the words with the meaning of “mercy" in thirteenth century Southwest Midland religious prose. The materials mainly examined are Ancrene Wisse and the Katherine Group Texts, of which several manuscripts have survived today. Already in the early thirteenth century, various French loanwords have been adopted in the Southwest Midland religious prose that began to supersede some of the native vocabulary. Especially, some of the French vocabulary seem to have been preferred in contexts referring to “God," “Christ" or “Our Lord." The influence of French as a prestige language in thirteenth century England must have been one of the factors enhancing French borrowings during the Middle English period.本小論では、OEからMEへの英語の変化の時代である13世紀に書かれた宗教散文KGおよびAWに現れた「慈悲」の意味の語の用いられ方を調べ、フランス語借入語が13世紀前半にすでに Southwest Midland 方言では浸透のきざしを見せていることを実証する。その結果、OEからの本来語の語彙も保持しつつ、OF借入語、さらにON借入語が文体的ニュアンスの差を維持しつつ並存し、その後の英語の特徴となる語彙の豊富さへと続く傾向を明らかにする。また、merciの導入については、このフランス語借入語が「神またはキリストの慈悲」に言及する文脈で多いことから、格調の高い文体が求められる文脈での用法が顕著であり、フランス語の prestige language としての影響が関連しているのではないかと考えられる。そして、このような傾向はおそらく13世紀イギリスにおいてロンドンを中心として Southwest Midland 方言およびKentish方言で共通する傾向であったであろうことが他の文献の検証からも推測できる。このように、英語の語彙の変遷にはフランス語借入語が大きな役割を果たしており、その背景としては、当時フランス語が社会で高いステータスを認められていたこと、それが文体的価値と結びついた用法を生み出し、英語の語彙をますます増大させる一要因となったのではないかと考えられる。
- 2010-03-15
論文 | ランダム
- 酸化剤を添加したスラリーによるチタンのケミカルメカニカルポリシング : 研磨面のXPS分析
- X線光電子分光による歯科インプラント表面分析
- 日本分析化学会第46年会
- チタン鋳造時の鋳型空洞の圧力挙動 : 二室加圧型鋳造機の場合
- 口腔内に金属箔を用いて身元情報を入力する試み : 小型鋳造補綴物への適用