日本の港における女性技能労働者育成の現状と課題
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概要
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日本では、港湾社会は他産業界に比べて閉鎖的であるといわれている。その閉鎖性を解きほぐす手立ての一つが、港における女性技能労働者の就労を容易にする環境づくりにあると考えた。しかし、一口に港における女性技能労働者の就労といっても、そこには多くのバリアがあり、その条件づくりは決して容易なことではない。論述の手順としては、先ずは、港湾社会に閉鎖性が起因したその史的背景について述べる。そうした論述を前提に、港湾社会にみるいわゆる3Kといわれる職場環境、その要因の一つになっている高技能化に伴う荷役作業の合理化、そして、そこでの就労が男性にとっての新たな課題になっている現実について言及する。しかし、現在の港は荷役作業の機械化によってコンテナ時代到来以前のような埃っぽい環境とは異なり、そこでは高技能化により力仕事が削減され、女性労働者の就労を可能にした。とは言え、現実の港湾社会では技能を有した女性が働いている姿は少なく、必ずしも彼女たちに開放されているわけではない。そこで、本稿では、既述のような論述を通して、日本の港湾社会における女性技能労働者の育成の現状と課題について考察を試みることにした。