はじめに 『新撰万葉集』における和漢対応の姿を端的に表しているものとして、鳴く鹿・鹿鳴というモチーフのあらわれ方が注目されるべきであろう。本稿は上巻秋57の歌と詩の分析を通じて、その詩想の異同を明らかにする上、漢詩製作の実際に迫りたい。