ドイツ表現主義におけるフランス文学受容
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概要
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ドイツでは19世紀末から、経済発展にともなってヨーロッパの近隣諸国、とくに隣国フランスの文化への関心が高まったが、本稿ではドイツ表現主義の作家がおもに同時代のフランス文学をどのように受容し、その影響を各々の創作にどのように反映したかを明らかにするために、次の観点から20世紀初頭以降、約20年間の独仏の文学関係を考察している。I. 20世紀初頭の独仏の文学関係、II. 表現主義の作家 (ベン、ハイム、ベッヒャー、H・マン) のフランス憧憶とフランス賞賛、III. 表現主義の文学に対するフランス文学の影響・作家別 (アルチュール・ランボー、エミール・ヴェラーレン、ポール・クローデル、フランシス・ジャム、レオン・ドゥーベル、ヴォルテール) の分析、IV. 表現主義の雑誌 (『シュトゥルム』誌、『アクツィオーン』誌、『ノイエ・ブレッター』誌、『ヴァイセ・ブレッター』誌、『フォールム』誌、『フリーデ』誌、『ミュンヘン文芸』誌) におけるフランス作家の掲載状況、V. 第一次世界大戦下の独仏の文学者の関係 (シュクードラーとペギーの戦場での対峙 : ポール・エリュアールとマックス・エルンストの友情 : リルケを救ったSt・ツヴァイクとロマン・ロランの連携 : Th・ドイプラーによるフランス詩集『おんどり』の編集・発行 : M ・マルティネとカール・オッテンの詩的呼びかけ : 大戦中のスイスにおける独仏の文学活動。以上の考察から、ドイツ表現主義におけるフランス文学受容が、たんに文学作品の翻訳や翻案に留まらず、(第一次大戦中のスイスで行われたような) 独仏の文学者の創造的な相互作用と共同活動へと発展し、表現主義が汎ヨーロッパ的特徴を得る契機になったことを明らかにしている。
- 2010-03-28
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