芋こんにゃくの伝統的製造法における凝固財「灰汁」利用の特徴 ―「炭酸ナトリウム」のゲル化特性の「灰汁」との類似性―
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概要
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こんにゃくの伝統的製造法において、凝固剤に草木灰の「灰汁」を利用してきた。その代替として、農家では「炭酸ナトリウム」が利用される。今日、一般に利用されている「水酸化カルシウム」が何故用いられないかについて、こんにゃくの物性特性に及ぼうす影響を、とくに、「のり」のゲル化特性と「飛粉」との関わりを中心に検討し、考察した。凝固剤「炭酸ナトリウム」は、芋こんにゃく特有の表面のやわらかい弾力と粘性と硬さを有する物性を形成し、この特性は、とくに「飛粉」が混在する場合において顕著に発現することが明らかになった。それは凝固剤「灰汁」のゲル化特性と極めて類似していた。また、「灰汁」は使用する濃度によって、物性特性が大きく影響されないが、「炭酸ナトリウム」においても同様の特性を示し、いわゆる、「のり」の状態によって凝固剤使用量を加減することが可能な、使いやすさの利点が「灰汁」と類似していることも明らかになった。このような特徴は、「水酸化カルシウム」を凝固剤とした場合、「飛粉」混在で物性が低下し、使用濃度によっても影響されるなど、「炭酸ナトリウム」「灰汁」と異なる挙動を示すことが明らかになった。また、「のり」の物性についての検討からも、こんにゃくに及ぼす影響に反映していることが認められた。凝固剤のゲル化の形成と特性にpH以外の要因として、「飛粉」が重要な作用を果たしていることが示唆された。
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