文化人類学の立場から「文化の共生」という問題を考えようとするとき、どうしても避けて通れない話題として、「文化相対主義」という考え方に関わる近年の議論がある。それによれば、20世紀の人類学のバックボーンであると考えられてきた「文化相対主義」が、認識というレベルにおいても実践のレベルにおいても、きわめて重大な欠陥を孕むものであり、それを深刻に受け止めざるを得ない状況が出現しているというのである。