作型別ならびに追熟中のイチゴ果実の成熟様相
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概要
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イチゴ果実の成熟様相を知るために,種々の作型の'宝交早生'を用い,果実の成熟に伴う呼吸,エチレン,アブシジン酸(ABA),糖,有機酸およびアスコルビン酸含量の消長を着色状態を基準にして調べた. また,別にイチゴ果実の追熟の有無を調べるために,一部の果実をW,TおよびP期からそれぞれ追熟させ,その後の成熟様相を圃場での成熟と比較した. 1)呼吸量は熟度とともに増加する,いわゆる末期上昇型を示したが,作型との間には一定の頃向は認められなかった. 2)エチレン発生量は成熟期間中はほぼ一定で,過熟期まではほとんど変化しなかった. また,未熟果実に対するエチレン処理は成熟にはまったく影響しなかった. 3)遊離型ABA含量はすべての作型において成熟の開始とともに増加したが,抑制および促成栽培ともに1期作目の果実は,2期作目や露地栽培の果実より,その増加時期が早かった. 4)糖含量は成熟とともにそれほど大きく変化しなかったが,抑制および促成栽培の1期作目の果実はシュークロース含量が高かった. 5)滴定酸度はすべての作型で熟度とともに減少する傾向を示した,作型別には,抑制および促成栽培の1期作目の果実は全成熱期間を通じて,滴定酸度がかなり低かった. この傾向はそのままクエン酸含量に現れていた. 6)追熟果実と圃場成熟果実の比較では,着色の進行,呼吸,ABAおよびアスコルビン酸含量の消長には,両果実間に本質的な差異は認められなかった. しかし,追熟果実では糖度は低下し,逆に酸度は高くなる傾向がみられた. 7)以上のことから,作型別には抑制および促成栽塔の1期作目の果実の成熟様相は,明らかに他の作型の果実と異なっているように思われた. また,イチゴ果実は生理的には一応追熟するが,食味の点からは追熟するとはいい切れない面をもつように思われた。
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