栗に及ぼす石灰の影響II (第4報) 普通栽培における石灰材料施与とマンガンの消長について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1)本報では,クリの実生に対する数種の石灰材料の効果について,その体内栄養成分,特にMnの消長との関連において実証した.実験区としてはSt(標準)区及び1/2 Na区(18Kgの花崗岩風化土壌中に40.5gの炭酸ソーダを混入)のほかに次の6区を設けた.18Kgの土壌中に4.23gまたは9.45gの水酸化石灰を混入した1/4 OH区及び1/2 OH区と,これらに相当する石灰分の量を炭酸石灰あるいは硫酸石灰として施用した1/4 CO3区,1/2 CO3区及び1/4 SO4区,1/2 SO4区などである. (2) 1/4 SO4区及び1/2 SO4区のクリの生育は標準区のそれと差が認められないが,1/4 CO3区, 1/2 CO3区,1/4 OH区及び1/2 OH区の生育は標準区のそれよりも highly significantに劣る. (3) St区(土壌pH5.11)に比し1/4 CO3(同術H5.64)の生育量が40%減量したことについては,前者の風乾葉中のMn含量0.41%に比し0.33%(吸収減退度20%)であることがその原因である.故に前報の成績と併せてクリの好適土壌pHは4.8~5.5と推定される. (4) St区,1/4 OH区及び1/4 CO3区の葉中Mg含量がそれぞれ0.52,0.50及び0.46%であつて,その差が僅少であるが,後の2者の生育はきわめて劣る.このことについてはMnの吸収減退が重要な因子である. (5) クリの細根,茎及び葉中のCa含量の比率はおのおの1.00:1.76:3.44で葉中に相当多いが, Mnのそれはおのおの1.00:2.32:18.64で,他の栄養素に比し特に多量に葉中に含まれている.細根に対する葉中Mnの含有比率は1/2 OH区で16.00,1/2 SO4区では23.16である. (6) 本実験にて葉中Ca含量2.20%にてもクリに害がない.クリに対すOverlimingの害は,石灰材料施与により土壌 pHの高まるためにMnの吸収量が減退することによるのである。
- 岡山大学農学部の論文
- 1959-00-00
岡山大学農学部 | 論文
- 果物の非破壊品質評価
- 枯損マツに寄生する昆虫群集の羽化
- ホウレンソウ雌性間性株における突然変異誘発ならびに低シュウ酸個体の選抜
- 変化する塩ストレス条件下における湛水の電気伝導度とイネの乾物生産低下の関係
- 塩条件下で発生するイネ(Oryza sativa L.) 高節位分げつの成長とナトリウム蓄積