富有柿のガス貯蔵に関する研究 (第2報)
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概要
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1. 前報において,所謂"遅延貯蔵"することが富有柿密封貯蔵中に発生する頂部褐変果発生予防に有効であると推定した.本報においては,主として遅延貯蔵が頂部褐変果発生予防の効果について再確認を行なつたことについてのべる2. 1953年9月15日から11月16日迄の期間10日毎に富有柿の呼吸強度について調査したところ,呼吸強度(果実1kg当りより25℃1時間に呼出されるCO2量)は次第に減少し,11月4日が最小の値(15.50mg)を示し,同16日には再び増大し19.90mgとなつた.従つて11月4日前後が転換期と思われる. 3. 同年11月4日採收した柿果を13l容真空デシケーター内に密封(貯蔵果客積率37%)した. A区(無処理区),B区(容器中CO2が絶無)及びC区(7日間遅延貯蔵区)の12月22日におけるCO2濃度は71.3%,0%(推定)及び52.5%であつて,しかしてB区の様に呼出したCO2を全部吸收せしめて容器内のCO2を絶無とすることは却つて果実を軟化することと考えざるを得ない. 4. 頂部褐変果発生率について7日間の遅延貯蔵したC区が相当程度少なくなつており,B区では更にその発生率が少ない.貯蔵中果実が軟化することと頂部褐変果発生率の低下との間に何等かの関連があるやにみえる. 5.1955年11月12日に採收した富有柿を採收後直ちに5l容デシケーター内に密封貯蔵(容積率45%)したA区,3日間遅延貯蔵をしたB区及び7日間の遅延貯蔵を行なつたC区の各デシケーター内の12月17日におけるCO2濃度は夫々53.3%,42.8%及び52.4%であつてC区の柿がB区に比してCO2呼出量がかえつて大となつている. 6.12月25日開封時における硬度はA区8.5,B区8.6及びC区7.8で貯蔵前の硬度(8.8)糖度及び色相等について大差はなかつた. 7. 貯蔵中に発生する頂部褐変果の発生率はA区38.5%に対しB区では13.0%となり著しく減少しているのにC区ではかえつて23.0%となり遅延貯蔵期間が長すぎるとかえつて不利であることが認められた。
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