ハッカ属の亜種間交雑に関する研究-4-花粉の発芽生理に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本ハッカを用いて花粉の発芽生理の研究と人工発芽床の探索を行なった.その結果は次のごとくである.1.ハッカ花粉の発芽には,20%のブドウ糖を溶媒とする,煮沸によってゲル化せしめないゼラチン30%溶液をpH5.5~6.0に調節した発芽床が適当と考えられる.2.上記人工発芽床に雌ずいまたは子房組織汁を加えると,花粉の発芽はさらによくなる.3.雌ずいと子房の組織汁は,開花当日のものが効果的で,前日のものは効果少なく,前々日のものはほとんど効果がない.4.上記人工発芽床を用いると,開花当日,特に採集直後の花粉の発芽率は高いが,開花前日の未熟花粉および開花翌日の老熟花粉の発芽率は著減する.5.花粉の発芽および花粉管伸長の適温は,27℃前後と考えられる.35℃の高温下においてもよく発芽,伸長する.6.異種ハッカの雌ずいと子房からの浸出物質の日本ハッカ花粉の発芽を促進する効果は十分認められなかったが,少なくとも近縁種または近縁変種のそれらは,日本ハッカ花粉の発芽に高い促進効果がある.7.ハッカ属の他種(M. rotundifolia, M. spicata, M. japonica, M. aquatica, M. gentilis, M. piperita, M. Pulegium および M. Gattefossei)の花粉は,上記人工発芽床でよく発芽し,花粉管を伸長する.8.この人工発芽床上におけるハッカ各種の花粉発芽率は,醋酸カーミン染色によって検定されたそれぞれの種の稔性花粉率とほぼ一致する。
- 岡山大学農学部の論文
- 1968-10-00
岡山大学農学部 | 論文
- 果物の非破壊品質評価
- 枯損マツに寄生する昆虫群集の羽化
- ホウレンソウ雌性間性株における突然変異誘発ならびに低シュウ酸個体の選抜
- 変化する塩ストレス条件下における湛水の電気伝導度とイネの乾物生産低下の関係
- 塩条件下で発生するイネ(Oryza sativa L.) 高節位分げつの成長とナトリウム蓄積