植物病害抵抗性遺伝子に関するゲノム領域ADG2断片のナス科植物でのPCR増幅法
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概要
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継続後誌:近畿大学先端技術総合研究所紀要 = Memoirs of Institute of Advanced Technology, Kinki Universityジャガイモにおいて重大な影響をもたらす病原体であるウィルスの内の一つにPotato Y Virus (PVY)がある。ジャガイモにおいてPVYに対する抵抗性に、Solanum tuberosum subsp, andigena に由来するRy_<adg>に制御されている高度抵抗性がある。そして、ジャガイモ2倍体栽培系統である2x(V-2)7からPCRにより増幅させた抵抗性遺伝子様断片(RGLs)が、ADG1、ADG2、ADG3である。その内のADG1とADG2は、Ry_<adg>を持つ植物体と共分離し、Ry_<adg>と密接に連鎖している事が示された(Hamalainen et al. 1998)。特にADG2は、他の二つのRGLsとは異なり、他のナス科植物からは、同じプライマーを用いたPCRでは増幅されず、ジャガイモからのみ増幅されたということが報告されている (Kasai et al. 2000, Sorri et al. 1999)。本研究では、じゃがいも以外のナス科植物からも非常に高い頻度でPCRによりADG2プライマーを用いてDNA断片が増幅される事ができた。ジャガイモ以外のナス科植物栽培品種でPCRによりジャガイモ由来のADG2断片用プライマーを用いてDNA断片が増幅されたのは本研究が初めての報告である。本報告により、Ry_<adg>に保存されている病害抵抗性遺伝子に共通の配列モチーフがじゃがいも以外のナス科植物にも保存されている可能性が非常に高い事が推測された。また、特に、ナス属植物からは比較的 stringency の厳しいPCR条件でもDNA断片が増幅されたので、配列相同性も比較的高いのではないかと考えられた。 (英文) PCR profiles for the amplification of ADG 2 fragments which are associated with unique features of plant disease resistance genes, were obtained on various Solanaceous plant species, tomato, eggplant, pepper, tobacco and Datura, by the modification of protocol for potatoes based on Kasai et al. (2000). In previous reports, there was no successful PCR profile for getting the ADG 2 fragment on all Solanaceous species except for the tuberbearing Solanum including the cultivated potatoes. An inference was made that a conse rva-tion of the genomic region could exist among the Solanaceous species. With the present success, a comparison can be made on how the ADG 2 region has common features in term of disease resistance gene motifs among Solanaceous plant species.
- 近畿大学生物理工学研究所の論文