学童期における高機能自閉症児と他者との関係性を育てる試み -自立活動「好きなこと時間」を通して-
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概要
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高機能自閉症の子どもたちがもつ、他者とのかかわりづらさに焦点をあて、特に、学童期における関係性の構築の重要性についての3事例の実践研究である。本研究においては、まず、彼らの内的世界を理解する足がかりとして生育歴をまとめ、発達過程における「症状」の変容について検討した。高機能自閉症の子どもたちが乳幼児期から、発達過程において、様々な「症状」の変容を見せるが、それは常に「関係性」の問題につながっていることが示唆された。次に支援学級において、彼らから発せられる活動に沿った応答的なかかわりを積み重ねて行くことにより、彼らの内的世界の理解につなげ、担任や級友との相互的関係性を築く過程で、同年齢及びその周辺他者とのかかわりについて検討した。そして、支援学級で構築された関係性を基盤に通常学級の場での関係性の変容に期待した。具体的には、自立活動として「好きなこと時間」を設定し活動した。3事例は、生き生きと自分の世界を展開すると同時に、支援学級の級友たちと興味を共有し、相互的関係性を少しずつ積み重ね、自己の主体に気づき、他者と共にあること、他者の主体に気づいていく。大人や保護的な役割を持つ級友たちとは経験できなかった物語を、支援学級の級友たちと綴っていった。そのなかで、学童期における同年齢及びその周辺の他者とのかかわりの重要性が示唆された。また、支援学級で培われた「関係性」が通常学級における「関係性」の構築にも影響を与え、わずかながら変容が見られた。
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