シラス台地斜面脚部の崖錐を開析する谷にみられる堆積物 -鹿児島県垂水市本城地区を事例に-
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概要
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本研究では,鹿児島県垂水市本城地区におけるシラス台地斜面脚部の崖錐を開析する谷を対象に,空中写真および大縮尺の地図の判読,地形測量,簡易貫入試験,堆積物の観察および放射性炭素年代測定を行い,谷底堆積物の堆積構造および年代を明らかにし,斜面崩壊や土石流に伴う上方からの急速な土砂移動および堆積イベント発生史の検討を試みた。さらに,谷底堆積物と近年の崩壊土砂および崩壊残土の体積を算出し,崩壊土砂の滞留状況について検討した。一部を除いて,厚さ 2-4m 程度の谷底堆積物がかつてのV 字谷を覆い,その全体積は約1,500㎥であった。谷の上方のシラス急斜面において2005年に発生した崩壊土砂の体積は約175㎥,崩壊残土は約111㎥ で,残土率は約63.3%であった。谷の上流部には過去約1,800年間に最低3回の,下流部には過去約1,300年間に最低4回の急速な土砂移動・堆積イベントの発生記録がそれぞれ保存されている。上流部と下流部で保存されているイベントの数が一致しない事実は,崩壊ごとに土砂の残留率や残留位置,崩壊残土の挙動が一様でないことを示唆する。
- 2010-03-16
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