スキムミルクなどを助剤とする植物体からの酵素タンパク質の抽出法の研究 - Eleocharis vivipara のPEPCの抽出を例として -
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概要
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Departmental Bulletin Paperわれわれは陸生型Eleocharis viviparaのC_4光合成型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)の環境応答や酵素の活性調節などの研究の過程で、このPEPCが従来から広く植物材料に対して用いられてきた、不溶性のポリビニルポリピロリドン(PVPP)を助剤とする抽出法ではほとんど抽出されないという困難に遭遇した。本研究ではこの問題を解決するため、抽出方法の検討を行った。その結果、スキムミルク (Skim milk) が助剤として非常に有効であることを見出し、PEPCの抽出効率を飛躍的に高めることに成功した。詳細な解析の結果、Skim milkの主成分であるカゼイン(Casein)がPEPC抽出に有効であることを示し、さらにCaseinよりも溶解性の高いCaseinのナトリウム塩(Casein sodium salt)の方が高い効果を示すことを見出した。Caseinの主要構成成分であるα-、β-、及びK-caseinはいずれも同程度に有効であった。通常は、PVPPを助剤として用いる場合には可溶性のポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone, PVP)をさらに加えることはないが、われわれは偶然、PVPをPVPPと併せて用いてみたところ、抽出効率が非常に良くなることを観察し、PVPにはPVPPにはない抽出能力があることを見出した。平均分子量を異にするPVPについて検討した結果、平均分子量が約10,000と小さいものが最も有効であった。さらに、本抽出法の応用性及び新たな可能性について論じた。
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