妄想の深層心理 : ユングからラカンへ(2)
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概要
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本稿(2)では,統合失調症の臨床事例(西村,1998)の再解釈が,特にクライエントの報告した三つの夢をめぐって試みられた.クライエントは面接過程の中で,アニマ像に導かれ,現実界に接近し,父の名の体得が行なわれるべき場へと再び到った.しかし主体は父の名の課す去勢を建設的な体験にすることができず,激しい怒りの反応を呈するだけで,父の名の受け取りを自ら拒否し,象徴界の外部,現実界の真っ只中に留まったまま,象徴界との凄まじい緊張関係に立たされる道(精神病者への道)を選んだ.心理療法はそのことを確認するために行なわれたようにも思われた.総合的考察では,『ブランビラ王女』における主体(ジーリオ)との比較によって,精神病的主体のあり方が浮き彫りにされ,そして物自体に相応するイメージを紡ぎ出し,主体を現実界へと接近させる存在として,ラカン的に捉え直されたアニマが,ラカン理論における対象a に相当することが論じられた.
- 2009-12-30
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