図形学習における数学的理解の「促進モデル」の研究 : カリキュラム構成原理としてのvan Hieleの学習水準理論の有用性の検討
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概要
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本稿の目的は、図形学習のカリキュラム構成原理を捉えることである。そのために、van Hieleの学習水準理論に着目して、この学習水準理論が図形学習におけるカリキュラムを構成する原理としてどのように有用なのかを検討する。ここでは単元構成を説明できるカリキュラムの大域的な構成の原理、そして学習単元内の構成を説明できる局所的な構成の原理という2つの捉え方に焦点をあてて、この学習理論の有用性を論じる。このような検討から、子どもが<わからないこと>を<わかるようになる>ために行なう心的行為としての「推論行為」を観察する上で、子どもが直面する理解すべき対象、子どもの推論の発生や進展において予想される特徴をvan Hieleの学習水準理論から導出可能かどうかを議論する。結果として、van Hieleの学習水準理論は、我が国の小学校算数科の範囲内でカリキュラムの大域的な構成を可能とする1つの原理としての役割を果たし得ることを述べる。このとき、「推論行為」を観察する上で、その観察命題を少なくとも小学校算数科「図形」領域の範囲内でvan Hieleの学習水準理論に基づいて述べることが可能であると考えられるが、一方で、中学校数学科「図形」領域においてはあまりにも理想的で大域的な原理であるため、新たな規範を示す必要があると考える。本研究では、「推論行為」の段階がそのような新たな規範となり得ることを示唆する。
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